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お金のトラブル解決法
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※当コーナーは、秋野卓生弁護士のご協カをいただいております。

住宅会社と1年以上の期間をかけて打ち合わせを重ねたが、請負契約締結はしないこととした場合、住宅会社から「それまでかかった実費」を支払って欲しいと言われました。
まだ契約も締結していないのにお金を支払わなければならないのでしょうか?

 契約締結段階に入った当事者の関係は、何ら特別の関係のない者との関係よりも密接な関係にあります。そこで、このような関係にある者は、相手方に対し、損害を被らせないようにする信義則上の義務を負い、自らの責めに帰すべき事由により、その義務に違反して相手方に損害を生じさせた場合、一種の債務不履行類似の責任を負うことになります。
この信義則上の義務とは、具体的には、自己の先行行為に矛盾する態度を取ることは許されないという矛盾行為禁止義務、相手方が誤解に基づいて行動していることが分かった場合には、その誤解を指摘してその誤解を是正する義務などです。
このような法理を、契約締結上の過失の法理といいます。
ご質問のように1年以上の期間をかけて打合せを継続していた場合、住宅会社に契約締結を期待させて費用を支出させている可能性が高いので、契約が締結されると誤信したことによって生じた損害、すなわち、実費を賠償する必要があります。

住宅会社と1年以上の期間をかけて打ち合わせを重ねたが、請負契約締結はしない事とした場合、住宅会社から「それまでかかった実費」を支払って欲しいと言われた。
まだ契約も締結していないのにお金を支払わなければならないのか?

契約を締結した住宅会社が、契約後、まったく打合せをしようとせず、放置されています。
このような住宅会社とは契約を解除したいのですが、解除した場合、違約金を支払わなければならないのでしょうか?

 施主が建築業者との間で自宅建物の新築の工事請負契約を締結したが、建築業者が施主との打合せや面会の要求に応じなかったため、契約を解除し支払い済みの請負代金について不当利得として返還請求をしたという事案にて、東京高裁平成11年6月16日判決は、「確かに、建物の建築請負契約においては、建物を建築するという目的を達成するため、注文者と請負人が、建築確認、工事内容、工事の着工、工事の施工等に関し、工事の着工前に十分に意見を交換し合うことが必要であることは明らかであるから、右の目的を達成するのに必要不可欠な打合せを行わなければならないにもかかわらず、請負人が正当な理由なくして、注文者からの打合せ又は面会の要求に応じようとせず、それによって信頼関係が破壊されたと認められる場合には、注文者において請負契約を解除することができると解するのが相当である。」と判示しています。
従って、施主からの要望にもかかわらず、打合せを拒絶し、信頼関係が破壊されたような事態に至った場合には、施主は債務不履行に基づく契約解除ができますので、この場合には住宅会社に違約金を支払う必要はありません。
ただし、住宅会社に債務不履行が認められない場合には、注文者による解除は、施主都合解除(民法641条)となり、施主は住宅会社に生じた損害を賠償しなければなりません。

契約を締結した住宅会社が、契約後、全く打合せをしようとせず、放置されています。このような住宅会社とは契約を解除したいのですが、解除した場合、違約金を支払わなければならないのでしょうか?

築10年以上経過した建物に重大な構造欠陥が発見されました。
建物を建築した住宅会社に対して瑕疵の補修費用を請求できますか?

 民法724条は「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする」と規定しています。
 この規定により、当該瑕疵が不法行為に該当すれば、最長20年間、責任追及が可能となります。
 最高裁平成19年7月6日判決は、不法行為責任が認められる場合について、「建築された建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の生命、身体または財産が侵害された場合には、設計・施工者等は、不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の存在を知りながらこれを前提として当該建物を買い受けていたなど特段の事情がない限り、これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負うというべきである。」と判示していますので、建物の基本的安全性を損なう瑕疵については、瑕疵担保責任期間が経過していても、不法行為の時効到来(民法724条前段)または除斥期間満了(民法724条後段)までは補修費用を住宅会社に負担することを求めていくことが可能です。

築10年以上経過した建物に重大な構造欠陥が発見されました。建物を建築した住宅会社に対して瑕疵の補修費用を請求できますか?

隣家敷地内に立ち入らないと工事ができません。隣家にお願いをしたところ、立ち入ることの承諾料の支払いを求められました。この承諾料は支払わなければならないのでしょうか?

 民法209条1項は、土地の所有者は境界で障壁を築造するために必要な範囲内で隣地の使用を請求することができると規定しています。
 この「使用」には、隣地への立ち入りだけでなく、足場を組んだり材料を一時的に置いたりすることも含まれます。また、一時的な隣地の掘削といった形状を変更する行為についても、認められると考えられています。
 この隣地使用請求権は、土地所有者が隣人に対し、隣地の使用を請求することができるという請求権であって、隣人の承諾を得ることができない場合には、裁判所に訴えて、承諾に代わる判決(民法414条2項但書)を求めなければならないとするのが判例・通説です。
 したがって、実際には、まず隣地所有者等に対して隣地を使用する旨の事前の通知を行い、隣地所有者が使用を拒んだ場合は、承諾を求め訴訟を提起することとなります。
 法律上は承諾料の支払い義務はありませんが、訴訟の手間を省いて早期に工事を進めるため、少額の金額を支払い、承諾をしてもらうことも実務上は行われています。

狭小地に家を建てる予定です。建物建築にあたり、少しでも建坪面積を広くするため、隣地境界線から30㎝の配置で建物を建てようと思い、隣家へ相談へ行きました。そうしたところ、承諾料の支払いを要求されました。
この場合、この承諾料はどの程度支払う必要があるのでしょうか?

 民法234条1項の規定により、建物を建築する際には、境界線より50センチメートル以上の距離を保持する義務があります。
ただし、民法の規定と異なる慣習がある場合や、隣家の同意や条例による建築協定が有る場合、建築基準法65条が規定する要件を充たす場合には、隣地境界線から50センチメートルよりも少ない距離の配置で建物を建築することも可能です。
 以上から隣家の同意を取り付けて境界線から50センチメートル未満の配置にて建築をするケースはあります。
 この際、隣家へ承諾料を支払う法的義務はありませんが、少額の金額を支払い、承諾をしてもらうことも実務上は行われています。
 承諾料の目安として、民法234条違反による損害賠償を命じた下記判決が参考になるでしょう。

  • 一度は境界から40センチメートルで建てるとしながら、境界から15センチメートルで建てたという事案において、慰謝料50万円の損害賠償請求が認められたケース(大阪高判H10・1・30判時1651・89)。
  • 建築基準法違反の建物を境界ぎりぎりに立て通風日照等の利益が大きく害された事案で、慰謝料50万円及び不動産価値の低下額40万円及び弁護士費用10万円の100万円が認められたケース(京都地判S58・2・28判時1090・148)。
  • 建築された建物の高さ、従前存在した建物との比較、建物の堅固さなどを総合考慮して20万円の損害賠償が認められたケース(神戸地判H15・6・19公刊物未掲載)。

狭小地に家を建てる予定です。建物建築にあたり、少しでも建坪面積を広くするため、隣地境界線から30㎝の配置で建物を建てようと思い、隣家へ相談へ行きました。そうしたところ、承諾料の支払いを要求されました。この場合、この承諾料はどの程度支払う必要があるのでしょうか?

建物の補修工事中に不同沈下が発生し、予定のなかった地盤改良工事費用を追加請求されました。契約時に地盤改良不要といわれていましたが、支払わなければいけないのでしょうか?

●なにが問題となっているの?
 建物に瑕疵があった場合、建築業者は施主の選択に従い、損害賠償責任を負います。そして、この損害賠償の金額は、補修費用に相当する額の全額となるのが原則です。
 とはいえ、瑕疵を補修するために想定される工事が、もとの建築請負契約の内容を上回る場合、建築業者は、グレードアップ部分についても費用を負担して補修をしなければならないのか、損害賠償の金額を調整する必要があるのかが問題となります。

●損害賠償の金額を調整する方法は?
 この問題を解決する方法として、「損益相殺の法理」を適用することが考えられます。
損益相殺の法理とは、損害を被った原因と同じ原因によって利益を受けた場合に、その利益の額を損害額から控除することをいい、損害の公平な分担を図るための法理です。
 「損益相殺」という考え方により解決することができるのかは、福岡高裁平成17年1月27日判決(判タ1198・182)*1が参考になります。

  • *1 福岡高裁平成17年1月27日判決(判タ1198・182)は、「本件敷地に本件建物を建築するに際しては、地盤沈下を防ぐため基礎工事として杭工事をする必要があったところ、本件請負契約ではその工事は予定されていなかったから、控訴人(筆者注:建築業者)が鋼管杭圧入工法等による補修工事費用を賠償すると、被控訴人(筆者注:施主)は本来本件契約において負担すべきであった杭工事費用相当額を不当に利得することになる。よって、これを損益相殺すべきであるが、証拠を総合すると、本来負担すべきであった杭工事費用相当額として50万円を認めるのが相当である。」と判示しました。

 このように、裁判実務でも、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権について、もともとの請負契約の中に含まれていない工事費用(グレードアップ部分)との損益相殺の法理の適用を認め、グレードアップ部分の費用相当額を損害額から差し引くことを認めています。

●まとめ
 瑕疵が発生した以上、瑕疵の補修工事費用は、建築業者が負担するのが基本ですが、福岡高裁平成17年1月27日判決によれば、請負人は、施主から損害賠償請求がなされた場合でも、当初の工事代金より利益を得る部分については損益相殺を行うことで、利害調整を行うことになります。

建物の補修工事中に不同沈下が発生し、予定のなかった地盤改良工事費用を追加請求されました。契約時に地盤改良不要といわれていましたが、支払わなければいけないのでしょうか?

建築業者相手に裁判を起こす際、弁護士費用相当額の負担を求めることができますか?

●何が問題となっているの?
 トラブルが激化して、弁護士を代理人として頼むとしましょう。「建築業者が瑕疵ある施工をしたから、弁護士に交渉代理人を頼まなければならなくなったのであり、すべての原因をつくった建築業者に、かかった弁護士費用の負担を求めたい」と思う建築主の方も多いのではないかと思います。
 ところが、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求の損害の範囲として、弁護士費用相当額は、当然に認められるものではありません。
 そこで、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求の損害項目として弁護士費用が認められるか、また、弁護士費用が損害として認められる場合に全額負担する必要があるのかについて、検討を行います。

●瑕疵担保責任について弁護士費用が損害項目として認められるの?
 建築請負契約に係る瑕疵担保責任について弁護士費用が認められるかどうかが直接争われた最高裁判例はありません。そして請負契約の瑕疵担保責任は、債務不履行責任の特則と解されており、弁護士費用の賠償請求は認められるものではありませんが、瑕疵担保責任に基づく損害賠償責任の損害項目として弁護士費用を認めている裁判例*2は多くあります。
 弁護士費用相当額の損害賠償請求が認められる場合には、弁護士費用の実費ではなく、他の損害の合計額の1割程度の金額が認められるのが相場です。

  • *2 ~弁護士費用相当額の損害賠償請求の可否に関する判例~
     判例は、不法行為に基づく損害賠償請求の損害項目として弁護士費用を認めています。
     また、債務不履行に基づく損害賠償請求の損害項目については、我が国では弁護士強制主義を採用していないことを理由として、認めてきませんでした(大判大正4年5月19日民録 21輯725頁)が、最判平成24年2月24日で労働契約上の安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求の損害項目として弁護士費用を認めました。

建築業者相手に裁判を起こす際、弁護士費用相当額の負担を求めることができますか?

瑕疵があり、築後8年の住宅を損害賠償によって得た金銭で建て替えることになりました。結果的に居住者が得した分は賠償額から差し引かれるのでしょうか?

●何が問題となっているの?
 瑕疵があり建物を建て替えるとなると、建築主は建替費用全額の損害賠償を受けることで、当該建物を無料で利用できたことになるだけでなく、さらに建て替えにより新しい建物を取得することができます。それゆえ、建築主は、建物に瑕疵があることで、建物の無料利用と新しい建物を得るという2つの利益を得ることになり、不合理な結果をもたらすことになります。そこで、このような利益が生じないように、建替費用から居住利益を差し引くことができるのか問題となります。この点について、最高裁平成22年6月17日判決*3が参考となります。

  • *3 ~構造耐力に関する瑕疵について建て替え費用相当額の損害賠償と居住利益を損益相殺することを否定した最高裁判例~
     この判決の事案の概要は、敷地及び建物の売買契約がなされたところ、売買対象となった建物には構造耐力上の安全性に問題があり建て替えざるを得ないような重大な瑕疵があったことを理由として、買主が売主に対して、建替え費用相当額の損害賠償およびこれに対する遅延損害金支払を請求したというものです。
     そして最高裁は、建物に重大な瑕疵がありこれを建て替えざるを得ない場合に、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権から、建替費用相当額から居住利益等を差し引くことができないという判断を行いました。

●まとめ
 以上の判例のように、裁判所は、建物の建替費用相当額の損害賠償を認める場合でも、そこから居住利益の差し引きを認めないと判断すると考えられます。
 それゆえ、建築主の8年分の居住利益を建替費用から差し引くことはできません。

瑕疵があり、築後8年の住宅を損害賠償によって得た金銭で建て替えることになりました。結果的に居住者が得した分は賠償額から差し引かれるのでしょうか?

建物に瑕疵が見つかった場合、建替費用相当額の損害賠償請求をすることができるのでしょうか?

●なにが問題となっているの?
 民法635条但書は、建物その他の土地の工作物に瑕疵があった場合でも、請負契約を解除することは出来ないと定めています。なぜなら、請負契約の解除を認めると、請負人は建物を除去しなければならなくなり、請負人にとって過酷だからです。
 そして、建替費用相当額の損害賠償を認めることは、建物を除去して新たに建物を建てる費用を払わなければならなくなるため、請負契約を解除した場合と同等の意味を持つことになります。
 そこで、建替費用相当額の損害賠償を請求することが、契約の解除を禁止した民法635条但書の趣旨に抵触しないかどうかが問題となります。

●建替費用相当額の損害賠償の請求は可能なの?またどのような場合に認められるの?
 最高裁平成14年9月24日判決は、「請負人が建築した建物に重大な瑕疵があって建て替えるほかはない場合に」は建物を収去することは社会経済的に大きな損失をもたらすものではなく、また、そのような建物の建替費用を請負人に負担させることは、請負人にとって過酷であるともいえないことを理由に建替費用の損害賠償請求を認めました。
 それゆえ、建物を建て替えるしかないような重大な瑕疵がある場合には、建替費用相当額の損害賠償の請求が可能になると解されます。
 なお、当初の請負契約において予定されていた建物以上の仕様・製品を備えた建物の建替費用相当額が認められるということにはなりません。

建物に瑕疵が見つかった場合、建替費用相当額の損害賠償請求をすることができるのでしょうか?

建物に不具合があり、その瑕疵について建築業者に損害賠償請求をする場合、慰謝料も請求できますか?

●何が問題となっているの?
 建物に不具合があり、建築主が建築業者に損害賠償を請求する場合に、慰謝料の請求もなされることもあります。
 どのような場合に慰謝料請求が認められるかという点について、京都地裁平成13年10月30日判決が参考になります。
 この裁判例は、瑕疵について損害賠償を請求する中で、瑕疵によって精神的損害も受けたとして慰謝料が請求された事案で、「一般に、財産権が侵害された場合、精神的被害は財産的損害の裏に隠れており、財産的損害が賠償されれば、特段の事情のない限り、精神的被害も一応回復されたとみるべきである。」と判示しています。

  • ☆慰謝料請求が認められるべき「特段の事情」とは?
     特段の事情の有無について、上記の京都地裁平成13年10月30日判決は、「原告(注:施主)は、終の住居として本件建物を建築したのに、その工事に様々な瑕疵があったことから、生活上の不便を強いられ、トラブルの解決に時間を取られ、予定していた老後の生活設計にも狂いが生じたことが認められる。しかし、この程度のことは、建築した家屋に瑕疵があった場合に建築主が一般的に感じる苦痛の範囲内であるというべきであって、上記特段の事情ありと認めるには不十分である」と述べています。
  • ☆「特段の事情」はどのようにして判断すればいいの?
     瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権により、慰謝料を生じさせる「特段の事情」が認められるかどうかを判断するための要素としては、① 被害の特質・程度(不快・不安な生活の継続、瑕疵の程度、安全性、瑕疵の残存可能性、安心して快適で平穏な生活を送る期待の侵害、夢の破壊)、② 加害行為の悪質性、③ 請負人等の対応の悪さ、④ 金銭的評価が困難な損害の補完の要否の4つの要素があげられます。
     「特段の事情」の有無を判断するに当たっては、上記の考慮要素を総合的に勘案した上で判断することが考えられます。

●まとめ
 建物に瑕疵があった場合でも、直ちに慰謝料が発生するものではなく、回復することができない精神的損害があるという特段の事情があった場合に限り、慰謝料請求が認められるものと解されます。
 特段の事情は、被害の特質・程度、加害行為の悪質性、請負人等の対応の悪さ、金銭的評価が困難な損害の補完の要否等を総合考慮して判断されます。それゆえ、慰謝料請求が認められるか否かは、事実関係を総合的に判断するよりほかなく、個別の事案ごとに類似事案を検討して判断せざるをえません。

建物に不具合があり、その瑕疵について建築業者に損害賠償請求をする場合、慰謝料も請求できますか?

工事によって生じた小さなキズについて補修を求めることができますか?慰謝料で我慢しても良いのですが。

●軽微な瑕疵である場合にも請負人は瑕疵を修補しなければならないの?
 請負工事の目的物に瑕疵があるとき、請負人は、注文者に対し、目的物の瑕疵の修補または修補に代わる損害賠償を行う責任を負うのが原則です(民法634条1項本文、2項)。
ただし、瑕疵が重要でなく、かつ、修補に過分の費用を要するときには、修補責任を負わないものとされています(民法634条1項但書)。ここでいう「瑕疵が重要でなく、かつ、修補に過分の費用を要するとき」とは、修補に必要な費用と、修補によって生じる利益を比較して決めるものと解されています。

●軽微な瑕疵について一切の損害賠償請求が否定されているの?
 軽微な瑕疵であるため、瑕疵の補修を要しないとしても、瑕疵によって目的物の経済的価値が減少した場合に、その減少した額を損害額と認定した例(東京地裁平成19年4月20日判決)や、補修費用に相当する額の2割を損害額と認定した例(札幌地裁平成14年9月5日判決)、10万円の慰謝料を認めた例(東京地裁平成15年4月17日判決)などがあります。

●まとめ
 わずかなキズが生じることが、まったく許されないというわけではなく、施工精度上の許容限度内のキズであれば、そもそも瑕疵にあたらないので、補修要求は認められません。
 また、仮に瑕疵と評価されたとしても、その対応方法が壁クロスの全面貼替えといった大がかりな工事となるということであれば、瑕疵が重要でなく修補に過分の費用がかかる場合にあたるといえるので、注文者は、瑕疵の修補請求をすることはできません。
 この場合、建築業者は注文者に対して慰謝料を支払い、解決をすることもできます。

工事によって生じた小さなキズについて補修を求めることができますか?慰謝料で我慢しても良いのですが。

キャンペーン代金と契約金とはどうちがうのですか。

工務店やハウスメーカーが、「今なら20万円で、○○をグレードアップしますので、キャンペーンの申込みをしませんか?」というような、キャンペーンを張って、営業を行うことがあります。このキャンペーンと本体である請負契約はまったく別の契約です。従って、キャンペーンに申し込んでも本体の工事請負契約が成立したことになりません。また、仮に本体の請負契約を締結した後、キャンペーンを使うことをやめるのも自由です。

キャンペーン代金と契約金とはどうちがうのですか。

契約書を作らないで商談をしていた工務店にお金を支払わないといけないのですか。

工務店が契約書を交わさないで、営業活動の一環として、図面作成を行うこともあります。しかし、一定程度業務が進んだ場合には、工務店やハウスメーカーに対して、代金の支払義務が発生します。
裁判例では、黙示の契約成立や、商法512条に基づく報酬請求権を根拠にして代金支払請求権を認めています。そして、設計図の作成・引渡しの有無、打ち合わせの回数等を考慮して、それが営業設計なのか、有償の業務なのかを判断しているようです。
この場合、支払うべき金額は、現実に実施した報酬に対する対価なので、工務店の算定基準があれば、それが基準となります。算定基準がない場合は、業界内部の基準、従来の慣行、仕事の規模、内容、程度などを総合考慮して相当額が決められます。

契約書を作らないで商談をしていた工務店にお金を払わないといけないのですか。

手付金とは?

手付金とは、売買契約の締結時に支払われる金銭のことで、売買代金支払時に売買代金の一部として充当されます。また、民法上、当事者の合意がない限り、手付は解約手付であると推定されます(民法第557条第1項)。従って、一般的な不動産の取引における手付金は解約手付であることがほとんどです。
解約手付は、解除した場合には、売主に支払わなければならない(=没収されてしまう)お金です。買主の立場からいいますと、契約を解除したい時に、まだ、契約の履行に着手していない場合には、手付金を放棄して契約の解除をすることができます。

手付金とは?

契約書がない場合、請負代金はいつ支払うの?

約款などで、請負代金の支払時期について定めていない場合、請負代金は、仕事の目的物が完成したときに、支払うことになります。
工事に不具合があり、完璧な状態ではないのだから、代金を支払いたくない、という話をよく聞きますが、裁判例上は、工事が予定された最後の工程まで一応完了した場合には、工事は完成したものとして扱うという考えとされています。
もし、本当に完成した工事に重大な欠陥があり、この欠陥を直さないと最終の工程が終了したとは言えないような場合であれば、修補や損害賠償をするまで、代金支払いを拒むことができます。ただし、主張している瑕疵がわずかなキズである場合など、代金支払いを拒絶することが信義に反するような場合には、代金支払いを拒むことはできません。

契約書がない場合、請負代金はいつ支払うの?

追加請負代金の明示がない場合代金は支払わなくても良いのでしょうか?

注文者が指示した工事でも、それが、工事の瑕疵を是正するためのもので、合理的といえるのであれば、そもそもそれは、瑕疵の補修工事であり、追加工事代金を支払う必要はありません。
しかし、注文者の好みで、追加変更工事を行った場合には、代金額の明示がなくても工事代金を支払わなければなりません(いわゆるサービス工事として無償で行われることの合意が成立していた場合は別です)。
追加・変更工事代金が発生するかどうか、発生するとしていくらになるのかという点については、事後的に争いになることが多いため、トラブル回避のために、書面を作成しておくなど明確にしておくことが必要でしょう。

追加請負代金の明示がない場合どうなるのか?

請負契約後、契約解除を希望する場合、いくらの違約金を支払うのでしょうか?

民法641条は、注文者は、工事が完成するまで、請負契約を自由に解除できますが、その代わりに請負人に対して損害賠償をしなければならない旨を規定しています。
注文者が請負人に対して賠償しなければならない損害は、住宅会社がすでに支出した費用(実費)と、仕事を完成すれば得たであろう利益(利益率)です。具体的にいえば、①人件費、②経費、③各種申請書類取り寄せ費用等の実費に、④当該物件について住宅会社が念頭に置いていた利益をプラスしたものになります。
請負契約約款の中に、「注文者の都合により、本契約を解除する場合には、請負代金の1割を違約金として請負人に支払うものとする」などの違約金条項を設けている場合もあるので、確認してみましょう。

請負契約後、契約解除を希望する場合、いくらの違約金を支払うのか?

瑕疵が発生した場合の補修費用の算出方法は?

工事の結果、瑕疵が生じてしまったとき、その工事をした会社のことを信頼できないとして、別の会社に補修を頼むケースがあります。この場合、別の会社に頼むと利益が上乗せされ、もとの会社が補修するよりも高くついてしまうため、その補修費用が妥当かが問題になります。
瑕疵の修補は、工事を行った会社に任せるのが信義上の原則と考えられます。別の会社に補修を依頼した場合であっても、特別な事情がない限り、工事を行った会社が自ら修理するのに必要な範囲内の金額に限定されるとする説と、別業者にかかる費用を賠償するべきだとする説があります。

瑕疵が発生した場合の補修費用の算出方法

裁判になった場合の弁護士費用は?

裁判になった場合、弁護士に支払う費用として「着手金」、「報酬金」、「手数料」、「日当」、「実費」などがあります。しかし、弁護士の費用は、個々の弁護士がその基準を定めることになっていますし、事件の内容や難易度、相手方に請求する金額等により変わってきます。
弁護士費用の目安となるものとして、日本弁護士連合会の旧報酬規定があります。具体的に示すと、例えば、瑕疵の補修費用として500万円の賠償を求める場合、
着手金 500万円×5%+9万円=34万円(消費税別)
報酬金 500万円×10%+10万円=68万円(消費税別)
となります。

裁判になった場合の弁護士費用は?

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