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太陽熱温水器

太陽熱温水器

太陽の光が、発電に利用できることは既に学びましたね。でも、太陽は光だけでなく、熱ももたらしてくれます。この熱を上手に利用できないか?そんな発想で生まれたのが「太陽熱温水器」なんです。エコなんとかという愛称は、今のところ、特にありません。
太陽熱温水器は、石油危機を背景に70~80年代に急速に普及しました。年間設置実績が80万台を超えた年もあったようです。しかし、最近の住宅の屋根にはほとんど設置されていません。理由はいろいろですが、そのスタイルも若干影響していたようです。でも、地球温暖化問題などを背景に、エコ住宅に関心が集まるなか、東京都など自治体を中心に補助制度が整備されたことや、温水器そのもののバリエーションが増えたこと、他の機器との接続が容易になり省エネ効果が拡大したことから、その利便性やエコ性能などに再評価の動きが出ています。

太陽熱温水器(HSG-201D)太陽熱温水器(SW1-231)
写真提供:株式会社長府製作所

太陽熱温水器ってなんですか?

太陽熱温水器の仕組みは、比較的単純です。屋根に取り付ける太陽熱集熱器と温水タンクから構成されており、ふたつは一体化されているのが「自然循環式」、両者が区分されているのが「強制循環式」です。太陽の熱を受ける集熱器なかには、細かな配管がされていて、なかを循環する水は集熱器の熱を受けて温められます。温められた水は比重が軽くなりますから、上に移動してタンク内に貯えられますので、お湯として利用します。これが自然循環式の仕組みです。
一方、強制循環式は、集熱器と温水タンクは分離していて、集熱器は屋根に、タンクは地上に設置されます。タンク内にお湯を貯めるために、水を強制的にポンプによって循環させています。強制循環式はタンクが屋根の上に載りませんから、見た目はパネル数の少ない太陽光発電のようで、見た目もカッコ悪くはありません。それと、屋根への負担が少ないので、取り付けに補強も必要ないので工事も楽です。

自然循環式太陽熱温水器

貯湯槽に補助熱源機(ガス24号)を一体化した太陽熱温水器システム

太陽熱温水器の最大の利点は、燃料が要らないことです。太陽さえ照っていれば、お湯は勝手に沸いてくれます。電気もガスも灯油も何にも要りません。循環式は水の循環にポンプを回すので電気は必要ですがわずかです(80~120Wh程度)。
家庭のお風呂なら1回の給湯で200ℓ程度のお湯が必要ですが、これをガスで沸かせば200円、灯油なら110円、深夜電力でも87円ほどかかります。でも、太陽熱温水器ならゼロ円です。お風呂は毎日のことですから、1カ月、1年を通してならどれだけ経済的か一目瞭然ですね。
少々カッコ悪くたって、太陽熱温水器の実力は凄いんです。特に自然循環式は、ランニングコストがゼロなんですから驚きますよね。日本列島は縦に長いので、日照時間も気温もマチマチなので、全国どこでも最大限の実力を発揮してくれるわけではありませんが、寒冷地や冬の一時期を除けば、40℃以上のお湯を常時利用することができるんだそうです。真夏は60~70℃のお湯になるので、水を足さなければ入れないくらいです。ガスや灯油の給湯器に接続することもできますから、ぬるければ追い炊きもできますし、お湯を追加することもできます。もちろん、風呂釜で追い炊きもできますから、利用上の不便は感じません。

シャワーは使えるの?

もちろん!といいたいのですが、条件があります。自然循環式の太陽熱給湯器は、屋根に設置されるので、心配はないと思いますが、蛇口と温水器の落差が最低2~3mは必要です。これ以下になると、お湯の出が悪くなるようです。また、シャワーを勢いよく使うには、落差が3~4m必要になるようです。2階建ての屋根に載せるのなら、何にも問題なさそうですが、平屋なら、ケースによっては、温水器を載せるための架台を設けた方がいいかもしれません。
水圧が心配なら、自然循環式ですが、2回路方式の水道直結タイプが用意されています。これは、集熱部で加熱されたお湯(熱冷媒)で、間接的に貯湯層内の水の温度を上昇させる方式なので、きれいなお湯を水道の水圧(245kPa)で使用できますから、シャワーの勢いも問題ありません。ただ、間接加熱構造なので、スタンダードタイプよりは、温まるのに時間が掛かるため、メーカーではガスや灯油の給湯器に接続して使用することを薦めています。

自然循環式太陽熱温水器の設置高さ 自然循環式・水道直結タイプ

費用はどのくらい、メンテナンスは?

機器の価格は、目的によってマチマチです。お風呂に給湯するだけなら、自然循環式のスタンダードタイプで十分ですが、高い水圧がほしかったり、温水タンクは地上に設置したいなどの希望があれば、給湯器のタイプが変わりますから、費用も増していきます。
表は、循環方式・機能別に機器価格と設置費用を表したものですが、参考にしてください。

太陽熱湯水時器の価格と設置費用一覧

  循環方式 機能 給湯量 ユニット 機器価格
(万円)
設置費用
(万円)
摘要
スタンダードタイプ 自然循環 200~280ℓ 一体型 15~30 10~20 補助熱源接続可
自然・水道直結 170 20~30
強制・水道直結 200 30~35
300 分離型 40~80 15~25
多機能タイプ 補助熱源内蔵 200 80~90 20~30 ガス24号
ヒートポンプ内蔵 460 100~120 20~31 深夜電力使用
  • 分離型の給湯量は、タンク容量。設置費用には、屋根の補強、コンクリート基礎は含まない。

表を見ていかがでしょうか?自然循環式の方がリーズナブルな値段でしょう。お風呂のお湯だけが必要なら、自然循環式で十分かもしれません。これなら、30万円前後で毎日のお風呂のお湯がタダになります。
取り付け費は条件がいろいろなので、一概にいくらとは断定できないので、ひとつの目安としてください。特に、一体型の給湯器は、満水時の重量が300~400kgにもなりますので、屋根の補強が必要になることもありますので、設置前に確認しておく必要があるでしょう。また、分離型も、満水時のタンク質量が200kgを優に超えますから、専用のコンクリート基礎が必要です。これらの費用は取り付け業者に、事前に見積りを取られて確認することをお薦めします。なお、屋根への取り付けには、専用の架台を用いることが多いのですが、理想をいえば、真南向きに30度の角度で日当たりの良い場所だそうです。屋根の形状によっては、真南に取り付けるのが難しいことがありますが、架台を工夫することで最上の条件を満たしてくれるようです。
さて、太陽熱温水器のメンテナンスですが、いくら自然エネルギーといっても、屋根の上に設置してあるので、雨や風、ほこりや黄砂にさらされたり、時には、台風や大きな地震にあうこともあります。このため、定期的なメンテナンスは欠かせないようです。メーカーでは年1回程度の定期点検を薦めていますが、大きな自然災害などの後にも、緊急の点検をした方が持ちはいいそうです。

切り妻屋根への設置(標準) 陸屋根への設置(平屋根) 棟まだぎ設置

省エネ効果はどうですか?

太陽の熱でお湯を沸かすのですから、省エネ効果はバツグンです。化石燃料を使わないのでクリーン度も他のエコ機器を圧倒しています。どのくらいエコかといいますと、自然循環式なら、燃料を必要としませんから、二酸化炭素の排出量はゼロです。これで、灯油換算だと年間約520kgの二酸化炭素の排出量を削減したことになります。ガスの補助熱源機(24号)を内蔵した機種でも、現行のガス給湯器に比べ、年間約399kg、30%以上の二酸化炭素の排出を抑えます。ヒートポンプ内臓タイプも、都市ガス給湯器に比べ、年間約715kg、60%以上の二酸化炭素の排出を抑えることができるようです。おまけに、自然循環式ならランニングコストがかかりませんから、家計にも優しい理想の給湯器といえそうです(二酸化炭素の削減量は、メーカーや機種によって、若干異なります)。

補助金は出ますか?

残念ながら、他の設備機器のような国からの補助金は期待できません。でも、東京都を始めとする自治体が助成金制度をスタートさせています。ちなみに、社団法人ソーラーシステム振興協会によれば、08年には80自治体、09年度には100自治体が、太陽熱温水器への助成を開始するそうです。参考までに、東京都の助成制度が掲載されているHPを紹介します。
都の事業内容 - 住宅用太陽エネルギー利用機器導入促進事業

<参考>メーカー一覧

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