「エネファーム」。ネーミングがみんな似てますので、頭が混乱しますよね。でも、エネファームは、覚えておいてください。正式名称は、「家庭用燃料電池コージェネレーションシステム」といいます。近い将来、住宅の標準設備になると期待されている住宅用設備機器のスーパースターなんですから。何しろ、このエネファーム、実は発電するんです。
ガス(天然ガスやLPガス)タイプと灯油タイプがありますが、これらの燃料から水素を取り出し、取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて、電気と水(お湯)をつくります。水の電気分解と逆ですね。つくった電気は家の電気として使い、化学反応の際に出る熱は熱交換でお湯にして。タンク内に貯湯します。つまり、電気とお湯の両方を、これ1台でまかなっちゃう優れものなんです。

写真提供:東京ガス株式会社
燃料電池って聞いたことあるでしょう。今、世界の自動車メーカーが必死で開発競争を行ってる「燃料電池車」の燃料電池と、このエネファームの原理は同じなんです。
図は、エネファームの原理を簡単な略図にしたものですが、これだけだと、ちょっとわからないかもしれません。①~⑥が、電気をつくり、お湯をつくる過程なんです。簡単に言うと、燃料の都市ガスから、水素を取り出し、空気中の酸素と反応させ、直流電気と熱をつくります。本当はもっと複雑で、特に、ガスや灯油から水素を取り出す工程の改質器や、酸素と反応させ電気をつくる燃料電池スタックなどは、化学技術の粋を集めた最新技術なんですね。
忘れるところでしたが、ガスや灯油が燃料といっても、それらを燃やすわけではないので安全性も高いんです。火は使いません。


エネファームが凄いのはわかったけど、一体どこがそんなに優れているのでしょう。それは、家庭で四六時中発電しちゃうことなんです。ソーラーパネルも発電しますけど、夜は無理ですよね。それに季節によって発電量がちがうけど、エネファームは、昼夜、季節に関係なく稼働させれば発電します。つまり、自分のお家が発電所になっちゃうんです。これってどういうことかというと、発電ロスがないことなんです。送電線を伝わって、何百キロも旅をしないから当然ですけど。それで、エネファームでつくった電力は、一般の家庭で使用する電力の4~6割程度もまかなってくれますので、電気代がお得になります。
もうひとつは、発電で発生する排熱を、無駄に棄てちゃわないで、直接有効利用して、約60℃のお湯をつくっちゃう点なんです。だから、電力会社の火力発電と比べても、エネルギー効率が非常に高いんです。発電所から送られてくる電力のエネルギー効率は約37%、それに引き換え、エネファームのエネルギー効率は、約80%ですから、その差は歴然ですね。
だから、お風呂だって、シャワーだって、床暖房だって、照明だって、テレビだって、そのエネルギーは、とってもエコなエネファームがつくってくれるんです。そうそう、エコキュートでは、湯切れの心配がありましたが、エネファームはどうなんでしょう。実は、エネファームの貯湯タンクユニットには、補助熱源機が組み合わされていて、これが24号クラスのエコジョーズなんです。燃料電池で間に合わなければ、ちゃんとエコジョーズが活躍しますので、湯切れの心配はありません。
それじゃ、デメリットはないのか?と聞かれますと困るのですが、実はあります。設置には、大きな基礎が必要なこと、価格が高いこと、お湯が沸きすぎると発電を止めちゃうので、お湯をあんまり使わないと発電量が減少すること、また、自家撞着みたいですが、停電時には発電しません、などです。
高いエネルギー効率を誇るエネファームですから、当然です。同じ量の電力や給湯に少ないエネルギーで済みますからね。でも、全く、二酸化炭素を排出しないわけではありません。
発電時には出しませんが、ガスなどを改質し水素を取り出す過程では、二酸化炭素が出るようです。でも、ガスなど一次エネルギーの消費量が約33%削減できますので、二酸化炭素排出量も約45%(1.5t)も削減できるんです。

ご明察です。高価です。システム価格だけで、何と1台当たり330万円(税別)以上もします。これに約20万円ほどの設置工事費が掛かりますから、350万円超の費用が必要です。これまで見てきた、設備機器と格が違います。何しろ、政府の国家プロジェクトとして研究開発が急がれた代物ですから、開発費用も膨大です。研究が陽の目を見て、エネファームが実用化され、一般に販売されたのが、昨年の5月です。そんなに日が経っていませんね。でも、テレビコマーシャルでも盛んに宣伝してますよね。家庭部門の地球温暖化防止に一役買ってくれると期待されてるからなんです。
家庭で一番エネルギーを使っているのが、電気や給湯・暖房ですから、これ1台を設置すれば、二酸化炭素削減にはとっても有効なんですね。多少高くても、志の高いユーザーなら、導入のインセンティブは十分ですよね。エネファームの普及に熱心な東京ガスでも、「導入希望者の多くは、お値段について気にする方はあんまりいません。それより、エコロジーへの貢献度についての質問が多いんです」などと話していました。
あります、あります、大型の助成金が国から交付されます。その額、何と140万円。結構な額でしょう。正式な名称は、「民生用燃料電池導入支援事業補助金制度」っていいます。補助金の内訳は、エネファーム購入費用と従来型給湯器との差額の1/2および設置工事費用の1/2で。1台当たり140万円(税込み)が上限です。従来型給湯器は23万円/台の評価なので、税込み346.5万円(税込み)のエネファームなら、以下の計算式で補助金が求められます。でも、上限が140万円ですから、計算結果も、それ以上になることはないと思います。
・補助金額=(エネファーム機器価格-23万円)×1/2 + 工事費×1/2
自治体でも補助金を出すところがありますから、確かめて見てくださいね。なお、国の補助金の窓口は、一般社団法人燃料電池普及促進協議会(FCA)です。
エネファームは、たいへん重く、パナソニック製の燃料電池ユニットでは125kg(運転時130kg)、貯湯ユニットも同じく125kgですが、こちらは運転時にはお湯が満たされますので、337kgにもなります。このため、両ユニットを設置するには、頑丈なコンクリートの基礎が不可欠になります。新築の住居なら、そのスペースと基礎をあらかじめ確保しておくのがいいでしょう。既築の住宅では、敷地に余裕があればいいのですが、なければ、導入を諦めることも視野に入れて置いてください。また、機器の搬入にも、精密機械だけにそれなりの配慮は欠かせないようです。東京ガスでは、搬入経路として、幅750mm、高さ2100mmの空間が必要だといっています。なお、設置工事には20万円程度の費用がかかります。

たいへん高価な機器だけに、故障やメンテナンスがどうなっているか心配ですよね。エネファームのメーカー保証は、発電4万時間もしくは発電回数4千回のいずれか早い時点までで、最長10年間と決っています(東京ガスの場合)。また、1年または5000KWh発電の早い時点で、機器本体の定期点検が実施されます。点検では、機器が正常に稼働しているかを確認するとともに、消耗部品の交換も行われます。これらフルサポート期間が満了しますと、半年前からリモコンで報知されますが、その時点で燃料電池ユニット、貯湯ユニットは共に自動的に停止されます。保障期間後の継続使用には、事前に有償点検を受けなくてはなりません。その後の使用については、メンテナンス費用は全て有償となるようです。つまり、購入設置後、10年間はメーカーが全面的にバックアップしてくれますので安心して使用できますが、その後がちょっと心配ですね。
10年経過以降は、1年ごとに有償の定期点検が行われますが、どの程度の費用負担が発生するかは不明です。精密機器だけに、部品をそっくり入れ替えるような故障なら、かなりの負担を覚悟しなければならないかもしれません。
その後10年(使用開始から20年)を経過しますと、その時点で燃料電池ユニット、貯湯ユニットが共に自動停止(半年前にリモコンで報知)しますが、これ以降の継続使用はできません。これは、長期経年劣化によるトラブルを未然に防ぐためなのだそうです。つまり、どんなに長く使用しても、最長が20年だということです。
家電に限らず、設備機器なども、安全に使用できる期間は10年程度のようです。その後、さらに同じ機器を使い続けるかどうかは、その時点で同等品の価格がどの程度低下しているかによるでしょう。有償のメンテナンス費用との見合いでもあります。関係者の話では、今後8~10年後には、普及率にもよりますが、エネファームの価格は100万円以下にまで下がるだろうと予測しており、そうなれば、おそらく、性能も機能もレベルアップした新品のエネファームに乗り換えた方がお得かもしれませんね。
ネ?何となく、エネファームってエコロジーの筆頭みたいに思えてきたでしょう?興味を抱かれるのは当然です。何といっても、これまでの電気やガスや灯油などのエネルギー源を直接使うわけではなく、水素と酸素を化学させる燃料電池として使うんですから、もし、自宅にあったら誇らしいですよね。でも、導入するにはいくつかの関門をクリアしなければなりませんし、補助金があっても持ち出しも大きいですから、十分検討する必要がありそうです。
エネファームをもっと詳しく知るには、実際に販売している大手のガス会社や石油元売り会社に訊ねるのが賢明でしょう。近くのショールームを訪ねてみて、実物を見てみるのもいいでしょう。とりあえず、主要メーカーと大手ガス会社のHPをお知らせしますので、覗いてみてください。
※エネファームは、天然ガス(13A)を燃料とする機種とLPガスを燃料とする機種に分かれます。各都市の大手ガス会社でも取り扱いがあります。
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