「エコウィル」と聞いて、ピーンとくる人は少ないかもしれません。でも、エネファームが登場する前は、テレビで盛んにコマーシャルを流してたんですよ。俳優の妻夫木 聡さんが、美人ロボット嬢の関めぐみさん相手に、演じていたアレです。「充電させてくれませんか?」って頼むロボット嬢が「お金を払います」っていうと、妻夫木さんが、「うちは、マイホーム発電だから」って断ります、さらに、ミストサウナに入った妻夫木さんのハダカを想像して、彼を突き飛ばしちゃうアレです。
コマーシャルで、エコウィルが発電し、給湯し、床暖房やミストサウナもできちゃう優れものだってことがわかる仕掛けでした。

写真提供:東京ガス株式会社
エコウィルの正式名は「家庭用ガス発電給湯暖房システム」といいます。ガスコージェネレーションの一種で、家庭用に開発された、ガスを燃料にして発電と給湯を行うシステムです。なんか、エネファームと似てますね~と感じられた方が多いとも思います、できることも似てますよ。発電と給湯のほか、床暖房、ミストシャワー、浴室暖房・乾燥機能など、ほとんど一緒です。何が違うんでしょう。
それは、エコウィルの発電方法です。エネファームは燃料電池方式で、ガスから水素を取り出し、水素と酸素を反応させて電気をつくりますが、エコウィルの発電方法は、ガスを燃料にして、エンジンを駆動させ、その力で発電機を回して電気をつくるんです。このシステムも何かに似てるでしょう。そう、自動車です。自動車はエンジンの力を回転運動に変えて、車輪を回しますが、エコウィルのエンジンは発電機を回すことに応用されています。ですから、エコウィルに搭載されているエンジンは、レシプロエンジンで、自動車メーカーの大手、ホンダが生産しています。
エンジンって回ってると熱くなるでしょう。自動車ならラジエターで冷やしますが、エコウィルは、この熱でお湯を沸かして給湯に利用するんです。つくったお湯は、給湯のほか、床暖房やミストシャワーに利用しているんです。

先ほども触れましたが、エコウィルは、大別すれば、発電と給湯のふたつの機能を持っています。このふたつの機能を発揮させるため、ガスエンジンを使っているのですが、このエンジンが強力なんです。ですから、ガンガン運転すると発電もどんどんするけれども、お湯も沸きすぎてしまうんです。使いきれなければ、せっかく沸かしたお湯も冷めてしまいますし、もったいないですよね。発電しすぎた電気だって太陽光発電みたいに電力会社に売ることができないので無駄になりますので、省エネの精神に反してしまうのだそうです。ですから、エコウィルは、初めから発電は定格1KW、熱量は2.8KWに設計されていて、必要以上の発電をしないようにシステムが組まれているんです。
つまり、タンク内のお水を73~75℃まで沸かしたら、自動的に運転が止まってしまい、発電も止めてしまうんです。このシステム、お湯を沸かすことが主体で、発電の方は従なんですが、これを「熱主電従運転」というのだそうです。
基本的な運転パターンは、そのお家の生活パターンを考えて、お湯を使う時間までに、お湯が十分に貯まるようにエコウィルの稼働時間を決めて、貯湯タンクのお湯が沸きあがると運転を止めてしまいます。各家庭でお湯を使う時間はマチマチですから、その家庭の事情に合せて運転時間を制御する学習機能が搭載されているのはそのためです。
メーカーが推奨している、エコウィルの向いている家は、たくさんお湯を使う家です。家族数が多く、毎日お風呂やシャワー、朝の洗面・洗顔でお湯を大量に使う家、床暖房などで豊富なお湯が必要な家などです。大家族で、お風呂が大好きなお家にはエコウィルは打ってつけかもしれません。
どのくらいだと思います?発電もするんですから相当高そうですが、実はそうでもありません。エネファームの300万円超に比べれば、安い!と感じられるかもしれませんね。エコウィルは発電ユニットと貯湯ユニットの組合せで1セットですが、価格は80~90万円くらいです。
両セットとも重く、いずれも80kg以上あります。貯湯ユニットは、満水時には200kgを超えますから、設置にはコンクリートの基礎が必要になりますし、そのためのスペースも確保しなければなりません。設置工事は10~20万円くらいですが、これには基礎の費用は含みません。新築なら事前に、専用の基礎を計画しておきましょう。既築なら、ガス会社もしくはリフォーム店に相談してみてください。メーカーが推奨している基礎は、共通基礎の場合は、W2075×D560×H150㎜以上、独立した基礎の場合は、発電ユニットで1180×435×150㎜以上、貯湯ユニットは1600×560×150㎜以上のようです。

それから、運転音のことにも触れておきます。エンジンを回すので騒音が出るように思いますが、発電ユニットで44dBですから気にするほどではありません。貯湯ユニットも48dBで、これもエアコンの室外ユニット程度ですから問題ないと思います。ただ、設置場所や周囲の状況によっては、反響などもありますから細心の注意は払ってくださいね。
エコウィルも「住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業」の一環として、補助金交付対象機器になっています。2009年度は1台当たり12万4,000円(機器分8万6,000円、特殊工事分3万8,000円)が国から交付されます。
窓口になっているのは、都市ガスの場合、一般社団法人都市ガス振興センターですが、詳細は、同センターのHPでご確認ください。
LPガスの場合は、日本LPガス団体協議会が窓口になっていますので、同協議会のHPをご欄ください。
LPガスを燃料とするガスエンジン給湯器導入補助金制度のご案内
なお、都道府県や市町村でも、エコウイルの導入に補助金や助成金を交付しているところがありますので、お近くの窓口に確認してみてください。
エコウィルは大家族向きってお話をしましたよね。大家族でお湯をたくさん使う家族向きなんだって。少量のお湯しか使わない家では、すぐ発電が止まってしまうからなんです。ですから、夏場よりも床暖房に必要な冬にこそ力を発揮するのがエコウィルなんです。
まず、電気代ですが、ガスで発電しますから、ガスの使用量は増えますが、家庭で使用する電力量の3~4割程度をエコウィルが賄ってくれるので、電気代は節約できます。ガス会社の試算では、標準的な家庭で年間3万円ほど電気代の節約になるようです。でも、ガスの使用量が増えるのでは何にもなりませんが、お得なガスの料金プランがあるみたいです。東京ガスのケースでは、「発電エコプラン」というのですが、通常期(5~11月)で8%、冬期(12~4月)は、それ以上の割引料金になるようです。
メンテナンスに関しては、購入形態によって差があるようですが、一般には、設置後10年間または運転20,000時間のどちらか早い方がその期間になるようです。この期間であれば、定期点検や修理費等は無償で行ってくれます。定期点検を行うのは、エコウィルが車と同じくエンジンで動いているからですが、3年または6,000時間のいずれか早い方で、点検や消耗品の交換を行います。不適当な使用や天災などは対象外ですが、通常の使用で、もし、故障が起きても無償で修理してくれるようです。新築で、同時に施工された機器なら、エコウィルだけでなく、浴室暖房や床暖房もサポートの対象となるようですから、10年間は安心といえます。

大家族向けだとか、たくさんお湯を使う家向きだとか、なんだか省エネとは相対するような発電・給湯器ですから、少し心配ですよね。でも、ご安心ください、エコウィルだって、ちゃんとエコしてますから。エコウィルのエネルギー利用率は77%。発電時の熱エネルギーを有効利用できない火力発電所のエネルギー利用率が37%ですから、それに比べたら雲泥の差ですよね。エコウィルが高いエネルギー効率なのは、エネルギーを利用する家で発電し、排熱利用しているからなんです。送電線とか長い給湯管なんて必要ありませんよね、ご自宅が発電所なんですから、だから効率がいいんです。
また、1次エネルギーの消費量も従来方式の、給湯暖房システム+火力発電に比べて約21%もダウンさせることができ、その結果、二酸化炭素排出量は約32%も削減することができるんだそうです。なかなかやり手ですよね、エコウィルって。

そうですね。ひとつふたつ留意点がありますので、ご検討ください。
エコウィルは、ガスエンジンユニットと給湯ユニットで1セットです。ただ、それぞれのメーカーがことなります。エンジンユニットでは本田技研工業や三洋電機など、貯湯ユニットは、長府製作所、ノーリツ、ガスター、リンナイなどのメーカーが製造しています。ふたつのユニットを組み合わせて「エコウィル」として販売しているのが、ガス供給事業者です。詳しくは、燃料が天然ガスなら大手のガス会社、LPガスなら各地区の燃料店にお問い合せください。
地域のプロパンガスを扱う燃料店
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